2年物 新窓販国債がマイナス金利で募集停止
財務省は3月1日に、5日から販売予定だった個人向けの「新窓販国債」の2年物募集を中止すると発表しました。理由は金利が低下したことを受けて、利回りがマイナスとなるためということです。利回りがマイナスってどういうことなのでしょうか?今回はその点を中心に説明していきたいとおもいます。
新窓販国債で利回りがマイナスとなる理由
これが発生する理由は新窓販国債の少々特殊な発行方式によります。
具体的に説明するために、平成25年2月発行の「新窓販国債2年」の発行条件を見ていきましょう。
募集期間 | 平成25年2月5日 ~ 平成25年2月27日 |
---|---|
表面利率 | 年0.1%(税引後 年0.079685%) |
応募者利回り | 年0.032%(税引後 年0.012%) |
募集の価格 | 額面金額100円につき100円13銭 |
利払日 | 毎年2月15日及び8月15日(年2回) |
償還期限 | 平成27年2月15日 |
償還金額 | 額面金額100円につき100円 |
(財務相ホームページより。)
上記で注目してもらいたい項目は「表面利率」と「募集価格」、「応募者利回り」という3つです。
まず、新窓販国債は、オーバーパーまたはアンダーパーで債券が発行されます。
今回はオーバーパーで発行されており、募集価格が100円につき100円13銭というようになっているわけです。これは仮に満期まで保有した場合、100円13銭で買った債券が100円でしか戻ってこないことを意味するため、損が発生することになるわけです。
一方で受け取ることができる利息は100円の額面に対して0.1%となります。2年債ですのでトータルで20銭の受け取りと言うことになりますね。
この場合、2年間で20銭の利息を受け取ります。一方で満期時には募集価格と償還価格との差額である13銭がコストとなりますので、実質的なリターンは7銭です。
額面は100円ですが、実際に投資をしたのは100.13円なので実質上受け取れる利率は低くなりますよね。これらを加味して出された利率が応募者利回りというものです。これが実際に投資した場合に受け取ることができる実質上の利息ということになります。
応募者利回りがマイナスとなるケースはあるのか?
募集価格が表面価格より高く、それが表面利率よりも高い場合は応募者利回りがマイナスとなってしまう可能性があります。
今回募集が中止された平成25年3月発行分は既存の発行ルールに基づくと応募者利回りがマイナスとなるため混乱を招かないように中止という措置が取られたということです。
Update:2015年1月
国債の利回り低下によって、2015年1月には新窓販国債の5年物も販売停止となりました。
詳しくは「2015年1月23日募集予定の新窓販国債(5年)マイナス金利で発行中止」をご覧下さい。
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