債券の価格と金利の関係

まず、債券価格と金利の関係です。債券は発行された段階では通常の利付債の場合、額面(通常は100円)で販売されます。その後満期(償還時)には額面通り100円で償還されます。しかしながら、それまでの間(発行から満期までの間)は流通市場で債券が取り引きされます。その流通市場では額面通りの金額ではなく時価となっています。ここでは、その債券価格変動の仕組みを解説します。

債券価格と市場金利は負の相関関係にある

すでに発行されている「債券の価格」と「市場金利(今現在の金利)」の間には負の相関関係があります。
負の相関関係というのは、「片方が上がれば片方が下がる」という関係です。

これはどういうことなのでしょうか?「債券の発行市場と流通市場」でも、発行された債券は市場取引されるときに額面以下の金額や額面以上の金額でと引きされることがあります、と書いています。ここではそれをわかりやすく例をあげて解説していきます。

市場金利とは何か?

まずは、市場金利とは何なのでしょうか?あまりなじみはないかもしれませんが、「金利」は市場で取引されています。株式と同じように市場で取引され、日々変動しています。
この金利のことを市場金利といいます。市場金利は経済情勢や国の信用力などによって変動しており、国が国債を発行するときや、銀行が住宅ローンの金利を決めるときもこの市場金利がベースとなっています。

 

債券価格は市場金利との間でどう変動するのか?

すべての金融商品は相対的に価格が決まります。
たとえば下の二つの商品があった場合、あなたはどちらを買いますか?AもBもリスクは同じです。

A:満期まで残り5年、受け取れる利息は年3%
B:満期まで残り5年、受け取れる利息は年1%

普通に考えるとみなさん「A」を選択します。誰だってそうでしょう。

もしも、世の中に「A」と「B」という商品があったとすると、投資家は「B」を売って「A」を買うという動きにでます。そうなると、需要がなくなった「B」の価格は下がり、逆に需要が増えた「A」の価格は上がります。これが市場経済です。

 

では、次のケースはどうでしょうか?

C)今日発行された国債 満期5年、額面100円、金利は年3%。
D)5年前に発行された国債 満期10年、額面100円、金利は年1%

どっちを買いますか?(D)は満期が10年の国債ですが、すでに5年経過していますので、満期までの期間は(C)と同じです。すると、当然(C)の国債の方が魅力的ですよね。ですから、投資家は「D」の古い国債を売って、新しい「C」という国債を買おうとします。

先ほどの例とは違い「C」の国債は必ず100円で販売されることが決まっていますので価格は動きません。すると必然的に「D」の国債の値段が下がり、「C」の国債とほぼ同じ条件になるように価格が下がります。

E)今日発行された国債 満期5年、額面100円、金利は年1%。
F)5年前に発行された国債 満期10年、額面100円、金利は年3%

今度は逆のパターンです。今日発行される国債「E」よりもすでに発行されている国債「F」の方が魅力的なケースです。お分かりと思いますが、この場合国債「F」は今日発行される国債よりも魅力的なので、「F」が買われる形となります。そのため、額面である100円よりも高い値段がつくことになります。

このように、国債の価格(債券の価格)はその時々の金利水準によって上下することになるわけです。

 

債券における価格変動リスク

国債投資のメリットとリスク」のところで「国債の途中売却には価格変動リスクがある」としたのは、この龍津市場における債券価格の変動があるためです。
ただし、途中でいくら価格が変動した場合でも「満期(償還期限)」には必ず額面で戻ってきますので、仮に自分が持っている債券が途中で「債券価格95円」といったように下落したとしても、満期まで持っていれば額面100円で帰ってきます。

また、個人投資家しか購入できないお得な「個人向け国債」の場合は「解約」とう仕組みが利用できます。そのため、流通市場は存在せず、途中う解約した場合でも元本を下回ることはありません。

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